こんにちは。キャリアコンサルタントの谷口真紀です。
私が専門としている保育園の人材コンサルティング、目的は「リテンション」。定着支援、先生方が働きやすい組織をつくることです。
保育園の先生方を対象に、1対1のキャリコンと研修を始め、数年にわたり関わってきた園では、少しずつ定着率は伸びています。
そして、共通する課題、対処法もみえてきました。
すべての組織に共通するとは言えませんが、少しでもお役に立てばと思い、ノウハウを公開しています。
保育士リテンション・コンサルティング②【”責任”のとらえ方】
保育の仕事は、子どもを預かる仕事です。子どもという大事な命、大事な宝物をお預かりしています。
「子どもの命を預かる責任の重い仕事」という表現を時折目にしますが、「責任」という言葉は、幅広い解釈ができます。
あってはならないことですが、子どものケガや命に係わる事故があった場合、その責任は、すべて「組織の長」が負うことになります。
具体的には、「説明責任」と「対外的な対処責任」です。記者会見や保護者の前で頭を下げるのは、当事者である保育士ではなく、組織の長になります。
これは、立場が上の人が出ることで、誠意の表れとみる考えがあるからです。ここで立場が下の人が出ると、組織の信頼を損ないます。
場合によっては「金銭的な責任(賠償責任)」も生じますが、これは保育園の「運営法人」が負います。公立保育園なら、市区町村が賠償することになります。
従業員である保育士には、自分の裁量内での業務の「遂行責任」はありますが、それだけです。
過剰に責任を感じ、過度なストレスを感じる必要はありませんが、だからといって気を緩めて良いということではなく、保育の仕事は「命を預かる仕事」という認識と仕事に対する適度な緊張感は必須です。
責任は、自分の裁量の範囲内の仕事に関して負うものです。
前回の「裁量」のテーマにもつながりますが、自分の裁量の範囲を理解し、その任務を全うすることを意識すること。
過度なストレスを常に感じていると、バーンアウト(燃え尽き)を起こしてしまいます。
短期離職をする方は、過度なストレスを仕事で感じている方が多いです。仕事は変わらなくても、環境のとらえ方を変えることで、ストレスを軽減することはできます。
「命の責任」をズシリと毎日感じながら仕事をする状態から、「命を預かっている仕事なんだな」と”認識する”程度にしておく。似たような言葉ですが、”責任という言葉がなくなるだけで、ズシリという重さが少し軽くなった感じがしませんか?
責任に関するとらえ方と組織の構造については、研修「保育者の社会人基礎力」で、具体例をもとにワークを通して理解を深めることができます。
もし業務遂行中にヒヤリとしたことがあったら、そこはただちに上司に報告、相談をしましょう。
上司が責任を全うするためには、起こった出来事に関する正確でタイムリーな「報告」は必須です。報告も、当然遂行すべき任務の一つです。
正確で素早い報告なくして、上司は部下を守れません。
次回は、リテンションと「報告・連絡・相談」についてです。