春ですね。もうしばらく桜は楽しめそうです。保育園の研修シーズンの到来です。
今朝、素敵な学校の記事を見つけました。岐阜県の「不登校特例校:岐阜市立草潤(そうじゅん)中学校」です。
カリキュラムも、担任も、自分で選ぶというスタイルです。もちろんオンラインも対応。「あなたに学校が合わせる」がコンセプト。
選ぶことには、責任が伴いますが、そこも含めて学びです。
まさに「エージェンシー」を身に付けていく学校です。
「変化を起こすために、自分で目標を設定し、振り返り、責任をもって行動する能力」であるエージェンシーには、いくつかのレベルがあります。
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(「OECD Education2030 プロジェクトが描く教育の未来」白井俊著より)
●レベル0:沈黙
●レベル1:操作 大人が自らのプロジェクトをサポートするために生徒を利用し、あたかも生徒の発案のように見せかける。
●レベル2:装飾 大人が主導して実行することを、生徒が助ける
●レベル3:見せかけの参画 自分たちの活動について、生徒は全くあるいはほとんど影響を与えることができない。
●レベル4:付与・情報共有 大人が生徒に対して仕事を割り当てる。ただし、生徒がプロジェクトに対してどのように、また、なぜかかわっているのかについては、情報が与えられている。
●レベル5:相談・情報共有 大人が意思決定するが、生徒も必要な相談を受けたり、情報を与えられている。
●レベル6:大人主導 大人が主導するが、生徒も意思決定に関わっている
●レベル7:生徒が指導し、自らの方向性を決めている。
●レベル8:大人とのパートナーシップの下での意思決定
仕事やプライベートで、いくつかの中学・高校に関わってきましたが、体育祭や文化祭の運営の内容をよく見てみると、その学校が生徒にどれだけの権限を持たせて任せているかが見えてきます。現在この「エージェンシー」は、義務教育の中では求められていないものですので、学校により大きな差があります。
ですが、コロナを通してこれからは岐阜県の草潤中学校のようにエージェンシーのレベルをぐんと高めた学校が急速に増えてくることでしょう。
上記は学校の中でのエージェンシーレベルですが、これは、職場の部下と上司のエージェンシーレベルにも当てはまりますね。
経験を積むことで意思決定の範囲が広がり、影響力が増してきます。
高校までの段階で高いエージェンシーを身に付けていると、環境に働きかける力が身についています。
社会人になった時からすでに「職場環境に自分は働きかけることができる」「周囲の人に対して影響を持つことができる」と考えている人が増えたら、どんな職場になるでしょうか。
まずは新人といえども受け身にならなくなるので、ストレスレベルは低くなります。また、上司が「あなたはどうしたいの?」と尋ねて、「私はこんな保育がしたい」と意思表示できる関係も増えてくるでしょう。
「子ども達に身に付けてほしい10の姿」の中にも、自分の気持ちや考えを言葉で伝える姿が含まれているように、子どもに身に付けて欲しいと望むのであれば、先生がそれをしてみせるようになることが一番ですね。
学校教育の中で、自分の学びに対して主体性を持つということを経験することがあまりなかった人も、今、これを子ども達に伝えなくてはならないのです。
ですが、きっと誰しも子どものころは、出来ていたはずです。
研修も、「もともと持っている力」を思い出し、それを職場の中で活かす具体的な手順や方法、スキルが伝わるように工夫しています。
たくさんの先生達にお会いできるのが、楽しみです。