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保育における”スーパービジョン”とは

こんにちは。キャリアコンサルタントの谷口真紀です。

キャリアコンサルタントは、「対人援助職」の一つです。
対人援助職とは、ソーシャルワーカー、臨床心理士をはじめ、
広義では、医師、看護師、保育士、教師なども含まれます。

狭義では、「一対一の相談業務」を主に行う人を指す場合もあります。
相談業務に就く人は、そのスキルにおいて「指導」を受けることが望ましいとされています。
相談業務における指導は、「スーパービジョン」と呼ばれることが多いです。
それは、この業務に正解がないということも意味しています。

私はこの1年、キャリアカウンセリングのスーパービジョン(SV)を学び、
実習を何十回と重ねてきました。

 SVとは何か?カウンセリングとは何かをずっと考え続けてきて、
できたと思っていたことができていなかったことに気づき、
「無知の知」の状態から少し抜け出しつつあるかな?というところで、
ようやく、少し見えてきたものがあります。

「正解のないもの」に対して指導をするということは、
その人の人間性や信念を問うものである、ということです。

正解があるものはそれを教えることが指導です。
正解が無いものは、「どうすればもっと良くなるか」を自分で考えるしかありません。

SVは、医療や介護、社会福祉の現場で行われることが多いのですが、
多くの現場で、この”指導”を行うことにより人間関係が悪くなるということが起こるようです。

保育園やこども園で、管理職による指導がうまくいかず
”ギスギスする”現場があるのは、
おそらくこの「SV」が、機能していない現場なのでしょう。

「あなたのその対人支援のやり方は間違っている」というのは
、「あなたの考え方・信念は、間違っている」と同義に近いのです。
それを頭ごなしに言われたら、当然受け入れることはできません。
感情で、反発します。

 保育の仕事において、対人支援の側面は年々大きくなってきています。
正解があるものはそれを伝えれば指導はOKですが、
その人の保育観は、その人のこれまでの経験からくる信念に基づくものです。
それを間違っている、正解はコチラだから次からこうしなさいと言われても、
それはすんなりとは受け入れられません。

反省ではなく、内省。
間違いを指摘するのではなく、どうすればより良くなるかを一緒に考える。
自分で気づき、行動変容につなげていく。
それが、支援する対象(保育士の場合は子どもや保護者)の利益につながる。

スーパービジョンの目的は、この辺りにあります。

正解のない仕事、特に、対人援助職の「指導」を行うスーパーバイザーには、
高度なスキルが要求されます。
さらに、スーパーバイザーは、スキルだけでなく、
信頼される人物であるということが大前提になります。

熟練した保育士が、信頼され、「スーパービジョン」のスキルを持っていれば、
その園は上手く回ります。
”スーパービジョン”は、通常の業務とはまた別のスキルです。
保育の世界でも、確立していきたい分野です。