保育園専門の人材コンサルティングの目的は「リテンション」。先生方が働きやすい組織をつくり、より安定した職場環境を実現することです。
保育園の先生方を対象に、1対1のキャリコンと研修を始めて数年にわたり、共通する課題、業界独特の問題、その対処法がいくつかみえてきました。
すべての組織に共通するとは言えませんが、少しでもお役に立てばと思い、ノウハウの一部を公開しています。
保育士のリテンション・コンサルティング③【相談チャンネルを増やす】
組織の課題でリーダーからよく聞くのは「報告・連絡・相談が少ない」です。
チームによってどれぐらいの頻度で、どの程度のコミュニーションが必要かは異なりますが、上司が必要と思っている情報量と、部下が届ける情報量に大きな差があると、不満につながります。
短期で辞める方のほとんどは、職場の人には相談をせずに決断をします。同じ組織の仲間には、辞める相談はしにくいですよね。
外部の人間で守秘義務のあるキャリアコンサルタントには、安心して話すことができます。話しながら、自分の思い込みや相手の思いを少しでも理解することにつながると、不満が小さくなっていきます。
離職理由は人間関係が背景にあることがほとんどですが、小さな誤解や思い込みから、不信感を募らせている場合も多いです。
あれ?と思ったとき、「もう少し詳しく教えていただけませんか?」といった言葉でさらにコミュニケーションを促すことも大事なスキルです。
ところが、なかなかこの一言が言えない人が、若い職員には多いようです。
上司に相談できないのであれば、先輩、同僚、パートの年上の職員など、複数の人間関係が職場の中に存在すれば、どこかで自分の胸の内を吐き出すことができます。
そうすると、辞めたい気持ちが少しトーンダウン。もう少しやってみようかな、と思えるようになります。
忙しい保育の現場では、仕事中は気軽な雑談をするゆとりはほとんどありませんよね。
休憩時間を作れるように意識する、職場以外での交流を促す飲食代補助金制度などで、相談チャンネルを増やす仕組みづくりは有効です。
そして、外部のキャリアコンサルタントを活用することは大変有効です。特に新卒1,2年目の先生方は、ネットの広告などの影響でしょうか、「自分の組織は大丈夫なのか?」という疑心暗鬼の方が時おり見受けられます。
そんな時に職場の人間ではない人からフェアで客観的な見方を知ることで、安心感を増します。ほとんどが、ちょっとした誤解や思い込みです。
「週休二日」と「完全週休二日」の違いを知らなかったり、有給休暇の仕組みを理解していなかったり。ネットの情報も、集め方によってはかなり偏っています。
相談できるチャンネルを増やすこと、何より、自分から、分からないことや困ったことを「相談する」という行動ができるようになることが、社会人1,2年目で求められることです。