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保育士リテンション・コンサルティング④【組織と個人の思いのギャップ】

こんにちは。キャリアコンサルタントの谷口真紀です。

私が専門としている保育園の人材コンサルティング、目的は「リテンション」。定着支援、先生方が働きやすい組織をつくることです。

保育園の先生方のキャリアコンサルティングと研修で多くの園に、1年~数年にわたり関わってきたことで、共通する課題、それに対する対応方法が積みあがってきています。

すべての組織に共通するとは言えませんが、少しでもお役に立てばと思い、ノウハウの一部を公開しています。

保育士リテンション・コンサルティング④【組織と個人の思いのギャップ】

組織の「保育観」は、「保育理念」「保育方針」などで打ち出されています。

各園、特色があり、何を大事にしているのか、何を目指しているのかが、ここに書かれている言葉から伝わります。

組織に所属して働くということは、この保育理念を実現するチームの一員ということです。就職を決めるときも、この理念に共感するということは大事な要素です。

ところが、働き始めると時折「保育方針が合わない」「やり方が自分の考えと違う」ということが起こります。

組織に所属して働くと、必ず生じる場面です。

理念は一致しても、方針など細部においては、組織と個人の思いが必ずしも一致するとは限りません。

このような時、まずは「組織の方針」を優先します

自分の思いは、いったん横へ置いておきます。

保育園は園長や経営者の理想を形にしたものですので、従業員である先生は、その人達の思いを具体化していくことが仕事とも言えます。

ですが、保育の仕事においては、個人の「保育観」は、人生観でもあり、価値観でもあり、とても大事なものです。

組織の方針を優先したとしても、自分の保育観がないがしろにされたわけではありません。

園長や経営者の思いをたくさんくみ取って普段は仕事をしているのであれば、今度は私の思いも聞いてくださいという姿勢は、持つべきです。その思いが組織の理念にのっとっていれば、その意見を聞くのは上司の役目です。

組織の理念に沿っているという大前提が崩れなければ、個人の思いは、チームワークをもっと強固にしていくものになります。

また、自分の人生観は仕事以外の面でも発揮することができますし、そこでの仕事は人生の一部分でしかありませんから、その組織で価値観のすべてを実現しようと思う必要はないのです。

組織の方針が間違っていると主張し、相談なく勝手に自己流を突き通すのは、組織人としてはNGです。

組織の方針が理念から反れている、ルールから逸脱しているのではと思った時は、理想は、上司、同僚と共通認識を持ち、会議など対話を経て変えていきます。ボトムアップは時間がかかることも多いですが、対話のステップを飛ばしては、組織の在り方が崩れてしまいます。

保育業界はルールの変遷が激しい業界です。社会が変わると、保育の仕方も変えていかなくてはいけません。

感染症予防の手順なども、社会の変化によって変えざるを得ないものの一つですね。

組織の方針への不満を良く聞いてみると、ルールの解釈を勘違いしていたり、一方的な思い込みだったということも、よくありました。

そもそも、その園の保育観が良いと思って入った職場。共感できる部分の方が多いのであれば、そのギャップを埋めるために自分は何ができるだろう?と考えてみることです。

問題を、他人事ではなく、「自分事」として捉えられるようになると、仕事はもっと楽しくなります。